- 監修:
- 藤田保健衛生大学医学部小児科 教授 吉川哲史 先生
水痘(みずぼうそう)ワクチンとは…
水痘に対する確実な免疫をつけるために、1歳以上3歳未満で2回接種するワクチンです。
- 水痘ってどんな病気?
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水痘は「みずぼうそう」と呼ばれる感染症です。
風しんやおたふくかぜより感染力が強く、水痘に感染した人の「せき」や「くしゃみ」で飛び散った水痘帯状疱疹ウイルスを吸い込むことで感染します。
毎年春先は、入園や入学など新しく集団生活を迎える機会が多い時期です。この時期は水痘にかかりやすいため、特に注意が必要です。主な症状
- ●発熱
- 37℃程度の発熱、倦怠感、食欲の低下、軽い頭痛などがあらわれます。
- ●発しん・水ぶくれ
- 小さく平らで赤い発しん(ブツブツ)があらわれます。はじめは虫さされやあせもと似ていることもあります。その後、発しんがふくらんで水疱(水ぶくれ)になり、体中に広がります。
- ●かさぶた
- 水疱は痂皮(かさぶた)となり、最後にすべてのかさぶたがはがれ落ちて治ります。
治るまでの期間(めやす)
水痘にかかると周りの人にうつす(感染源)ため、保育園、幼稚園や小学校などは出席停止となります。
すべての水疱がかさぶたとなって、登園・登校できるようになるまでは、1週間から10日かかります。
なお、治ったかどうかは自己判断せず、かかりつけのお医者さんと相談しましょう。 - ワクチンを受ける時期は?
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接種対象年齢は1歳以上3歳未満です。3ヵ月以上の間隔をあけて、2回接種します。
- 標準的な接種期間
- 生後12~15ヵ月未満までに1回目を、1回目終了後6~12ヵ月までの間隔をおいて2回目を接種します。
水痘は乳幼児の早期にかかることが多いため、
1歳になったら、出来るだけ早めに予防接種を受けましょう! - 大人が水痘にかかることはありますか?
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大人でも、これまでに水痘にかかったことがない人や、ワクチンを受けたことがない人は、免疫を持っていないため水痘にかかることがあります。
大人がかかると肺炎や肝機能異常を起こし、重症になることがあります。また、病状が急速に進行して急性呼吸不全となり命にかかわることがあるため注意が必要です。水痘の治療法
- ●抗ウイルス薬
- 水痘帯状疱疹ウイルスに対する治療薬があります。
発しんが出始めてから2日以内に服薬すると効果があります。 - ●熱を下げる
- 熱が高い場合は、解熱剤があります。ただし、市販の解熱剤や風邪薬にはアスピリンの成分が入っていることがあるので、使用してはいけません。
- 妊婦が水痘にかかると危険な理由とは?
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■妊婦が水痘にかかると…
水痘帯状疱疹ウイルスの免疫を持っていない妊婦が水痘にかかると、肺炎を併発し重症化することがあります。
また、頻度は低いものの、お腹の中の赤ちゃんが水痘帯状疱疹ウイルスに感染し、皮膚や神経、目などに異常を持った赤ちゃんが生まれることがあります(胎児帯状疱疹症候群)。
出産前5日間と出産後2日間に妊婦が水痘にかかると、赤ちゃんが重症水痘(新生児水痘)になる場合があります。