風しん

風しんとは

風しん
  • 風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症で、症状は不顕性感染から重篤な合併症併発まで幅広く、症状のみで風しんと診断することは困難な疾患です。
  • 2012~2013年の全国的な流行以降、2014~2017年は患者届出数が少ない状態が続いていましたが、2018~2019年には再び大都市圏を中心に流行が発生しました。
  • 風しんに免疫がない妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、出生児が先天性風しん症候群(CRS)(感音性難聴、先天性白内障または緑内障、先天性心疾患など)を発症する可能性があります。
  • 先天性風しん症候群(CRS)の予防のためには、妊婦に風しんウイルスを近づけないようにする必要があります。夫やパートナー、家族におけるワクチン接種を徹底するとともに、確実に妊娠前の2回の風しん含有ワクチンの接種、または十分な抗体価があることを確認することが重要になります。

主な症状・経過

  • 感染から14〜21日(平均16〜18日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現しますが、発熱は風しん患者の約半数にみられる程度です。
  • 発疹は淡紅色で、小さく、皮膚面よりやや隆起しており、全身に広がるにはさらに数日間を要することがあります。リンパ節は発疹の出現する数日前より腫れはじめ、3〜6週間位持続します。
  • 風しん患者の多くは軽症ですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病を合併することがあります。

特徴

原因となる病原体 風しんウイルス
感染経路 飛沫感染、接触感染、母子感染(胎内感染)
かかりやすい年齢 2013年の報告患者では、男性が女性の約3.5倍。男性は20~40代に多く、女性は20代に多い。
感染力 麻しん(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほどは強くありません。
合併症 脳炎、血小板減少性紫斑病

この感染症を予防できるワクチン

MR(麻しん風しん混合)ワクチン、風しんワクチン

※詳しくはかかりつけ医にご相談ください

<接種対象・スケジュール>
任意接種
  • ✓ 過去の罹患歴、接種歴のない感受性者はワクチンによる予防が重要です。
  • ✓ 罹患歴、接種歴があいまいな場合にもワクチン接種が推奨されます。
  • ✓ 罹患歴がない場合、接種回数は1歳以上で2回接種します。
スケジュール表
定期接種

定期接種(第5期)は、1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性を対象とし、抗体検査の結果、HI抗体価が十分でない場合に原則無料でワクチン接種を行っています。

スケジュール表2

国立感染症研究所 予防接種スケジュール より作図
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/schedule/2021/JP20210802_03.pdf

豆ちしき

COVID-19の世界的な流行により、人の国際的な往来がストップしたことで、2018年半ばから続いていた風しん感染者もほぼゼロとなっています。この結果は、日本国内における風しん患者の発生に国際的な人の往来が関与していることが改めて示唆されるものとなりましたが、風しん排除までにはまだまだ厳しい道のりがあります。これから生まれてくる子どもを守るために、一人でも多くの対象世代男性が、風しん抗体検査および予防接種を受けていただくことが期待されます。

参照:

国立感染症研究所 風疹とはhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html 国立感染症研究所 2019年1月~2020年6月に出生した先天性風疹症候群5例https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2528-related-articles/related-articles-487/9870-487r04.html