破傷風
破傷風とは
- 破傷風は、破傷風菌という細菌が作る毒素によって起こる感染症です。破傷風菌は、酸素があると増えることのできない「嫌気性菌」の仲間ですが、芽胞という固い殻に包まれた状態で、世界中の土などの環境に存在します。
- 土などで汚れた傷から、破傷風菌芽胞が入り込み、傷のなかの酸素のないところで菌が増え、毒素を出します。破傷風菌の作る毒素は、「神経のはたらきを抑制する神経」に作用して神経を「過活動の状態」にすることで、筋肉のけいれんや、こわばりの原因になります。
- 破傷風は治療よりも予防により制御可能な疾患です。
主な症状・経過
- 潜伏期間は、3~21日であり、平均は10日ほどです。
- 症状は、痛みを伴う筋肉のけいれんやこわばりで、最初に口が開きにくいという症状(開口障害)が認められることが多いです。顔の筋肉がけいれんすることにより笑っているような表情に見えたり、ものが飲み込みにくくなったり、頭部から背中まで弓なりにそり返る症状が認められたりします。意識は保たれます。
特徴
原因となる病原体 | 破傷風菌 |
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感染経路 | 破傷風菌の芽胞が、傷口から入り感染 |
この感染症を予防できるワクチン
破傷風トキソイド
※詳しくはかかりつけ医にご相談ください
<接種対象・スケジュール>
接種歴のない人は、3回接種を推奨。
初回免疫として3~8週間隔で2回、その後、追加免疫として6か月以上の間隔を置いて接種してください。
初回免疫、追加免疫を完了した人は、数年ごとに再追加免疫を接種できますが、接種間隔は職業、スポーツ等の実施状況を考慮してください。
国立感染症研究所 予防接種スケジュール より作図
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/schedule/2021/JP20210802_03.pdf
日本では、1952年から破傷風トキソイドが導入されました。1968年から破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日せきワクチンが組み合わされた三種混合ワクチンが定期接種となり、現在では、その三種混合ワクチンに、不活化ポリオワクチンが組み合わされた四種混合ワクチン接種が行われています。
現在、日本では年間約100人が破傷風を発病し、このうち5~9人は破傷風が原因で死亡しています。破傷風にかかる人は、1968年より前に生まれワクチン接種をしていない人に多く、この感染症の予防には、ワクチンの接種が重要であることがわかります。
参照:
国立感染症研究所 破傷風とはhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.html