- 監修:
- 公立大学法人福島県立医科大学医学部小児科学講座 主任教授 細矢 光亮 先生
日本脳炎ワクチンは…
日本脳炎ウイルスに対する確実な免疫をつけるために、標準的には3歳2回、4歳1回の接種(基礎免疫)を受けた後、9歳1回の接種(追加免疫)を受けるワクチンです。
- 日本脳炎ってどんな病気?
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日本脳炎は日本脳炎ウイルスに感染した蚊(コガタアカイエカ)に刺されてうつる感染症です。
人から人へ感染することはありませんが、蚊の活動が活発になる夏には特に注意が必要です。
日本脳炎ウイルスは、ブタなどの動物の体内で増殖し、そのブタを刺した蚊が他のブタを刺すことで、蚊からブタ、ブタから蚊へウイルスが伝播します。主な症状
- ●蚊にさされてから7~10日間後に、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す「急性脳炎」になります。
日本脳炎ウイルスに感染してもほとんどの人は症状がなく、気がつかない程度ですんでしまいます。しかし、100~1,000人に1人程度が脳炎を発症します。
発症すると約20~40%の人が亡くなり、命をとりとめても、多くの人が神経の後遺症(脳の障害)を残す病気です。 - 日本脳炎ワクチンの接種時期は?
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生後6ヵ月から90ヵ月未満の1期に3回、9歳以上13歳未満の2期に1回接種します。
日本脳炎の予防接種の機会を逃した方へ
平成17年度から平成21年度の間に日本脳炎の予防接種の機会を逃した方を「特例対象者」として、接種の機会が設けられました。
- 特例対象者:
- 平成7年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれた方
特例対象者以外の方については、これまでどおり、第1期(生後6ヵ月から生後90ヵ月未満)と第2期(9歳以上13歳未満)が定期接種の対象となります。詳しくは、お住まいの市町村にお問い合わせください。
◎母子健康手帳を見て、お子さんの予防接種歴を確認しましょう。
- 日本脳炎にかからないためにはどのようなことに注意するとよいですか?
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日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは、昼間は水田や雑草の茂みなどに潜み、日没後に活動が活発になります。そのため、夏季の夜間の外出を控える、蚊が屋内に侵入しないように網戸を使用する、夜間の窓や戸の開閉を少なくするなど、蚊に刺されない工夫が大切です。また、蚊が人を刺す時期は10月まで続くため、夏が過ぎてもしばらくは注意が必要です。
- 日本脳炎ワクチンは1回の接種でも効果はありますか?
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しっかりと免疫を付けるためには「4回」の接種を受けることをお勧めします。
1回の接種では十分な免疫は付きません。標準的には3歳で2回(6日から28日までの間隔)、4歳で1回(2回目の接種から1年程度の間隔)接種し、9歳で4回目の接種を受けます。