ワクチンInformation
麻しんの感染に要注意
2015年に日本は麻しんの「排除状態」であることがWHOによって認定され1)、新型コロナウイルス感染症が流行した2020年以降、全国の麻しん感染報告数は減少傾向でした2)。しかし、麻しんの「排除状態」でも患者報告は見られています。さらに新型コロナウイルス感染対策が緩和されたために海外渡航者が増加してきたこともあって、今後の国内での麻しん流行が懸念されています1)。
麻しんの特徴
麻しんに感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れ、2~3日熱が続いた後39℃以上の高熱と発疹が現れます1)。
一度発症すると特効薬はなく、脳炎や肺炎、中耳炎などを合併することもあります1)。
感染力が非常に強く、飛沫感染や接触感染だけでなく、空気感染でヒトからヒトに感染するため、手洗いやマスクだけでは予防できません(図1)1,3)。
宮入先生に聞いてみよう 教えてドクターQ&A
麻しんの予防接種は2回受けると聞きましたが、わたしは子どものころに1回しか接種していません。2回目の接種は必要ですか?
医療・教育関係者や海外渡航を計画している方で、麻しんの罹患歴がない場合は追加接種を検討してください。
2回接種による免疫獲得率は97~99%以上と報告されています。
子どもの定期接種が2回である理由4)
① 1回の接種で免疫がつかなかった子どもに免疫を与えること
② 1回の接種で免疫がついたにもかかわらず、時間の経過とともにその免疫が弱まった子どもに再び刺激を与え免疫を強くすること
③ 接種しそびれた子どもにもう一度接種の機会を与えること
1回の接種で93~95%以上、2回で97~99%以上の方に免疫がつくと報告されており5)、成人でも、医療・教育関係者や海外渡航を計画している方で、麻しんの罹患歴がない場合は2回接種を検討してください1)。現在のMRワクチンの2回定期接種制度*1が開始された2006年以前の定期接種の状況*2も踏まえると、特に1990年4月1日以前生まれの場合は2回接種できていない方も多くいます。上の表1 6) を参考にご自身の接種状況を確認し*3、2回接種を検討してみてください。
また、過去に風しん含有ワクチンの接種が行われなかった1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は、「風しん第5期定期接種」を2025年3月31日まで受けることができます*4。対象の方は風しんの抗体検査を受け、抗体が十分ではなかった方は麻しん予防にもつながるMRワクチン接種を受けることができます(2024年2月時点)7)。詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
お役立ちミニ情報
マスクは子どもの発達に影響する!?
新型コロナウイルス感染予防でマスクの着用が一般的になりました。そんな中、まわりの人の顔がマスクで目元しか見えないという環境が、子どもの成長・発達にどのような影響を及ぼすかについての研究が進んでいます。
子どもの顔認知能力の発達過程では、まず生後3か月までに目・鼻・口の単純な配置に反応して顔を認知していきます8)。そこから徐々に同じ社会環境で生活する人の顔が識別できるようになっていくようです。
まわりの人みんながマスクを着けている環境は、子どものコミュニケーション能力の発達に影響があるかもしれません。
子どもにとって人の表情を読み取る経験はとても大事です。
子どもとコミュニケーションを取るときのポイント
① 家庭内での身体接触の場を増やす
② ボディランゲージや声の抑揚を意識する
③ 透明素材のマスクを着ける
④ 家庭内でも表情豊かに
実践してみましょう。
啓発用としてご自由にお使いください。
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